Xの悲劇  エラリー・クイーン (著), 越前 敏弥

Xの悲劇  エラリー・クイーン (著), 越前 敏弥

ドルリー・レーン氏初登場! ミステリの古典が新訳で生まれ変わる。

結婚披露を終えたばかりの株式仲買人が満員電車の中で死亡。ポケットにはニコチンの塗られた無数の針が刺さったコルク玉が入っていた。元シェイクスピア俳優の名探偵レーンが事件に挑む。決定版新訳!

『Xの悲劇』(エックスのひげき、The Tragedy of X )は、1932年に発表されたアメリカ合衆国の推理作家エラリー・クイーンの長編推理小説。
ドルリー・レーンを探偵役とする「悲劇」4部作の第1部。本作を含む4作品は「バーナビー・ロス」名義で発表された。
本作のタイトルは、作中でしばしば「未知数X」の意味で犯人をXと仮定していることと、第3の殺人の被害者が犯人を示すためのダイイング・メッセージとして指をクロスさせていたことに由来する。
満員の市電の中という密閉状況の中で、ニコチン液に浸した針を使用した巧妙な殺人が発生する。被害者である株式仲買人のハーリー・ロングストリートは多数の人間から恨まれており、容疑者が続々と現れるがいずれも逮捕の決め手に欠けていた。お手上げとなったサム警視とブルーノ地方検事は、必死の思いで元舞台俳優の名探偵ドルリー・レーンに協力を要請する。
ブルーノ地方検事の元に、ロングストリートが殺されたときに同じ市電に乗り合わせていたという者から殺害犯人を教えるという密告状が届く。ブルーノ地方検事とサム警視、ドルリー・レーンが待ち合わせのウィーホーケン渡船場のフェリー発着場に行くと、そこで誰かがフェリーから海に落ちたと騒ぎが起きる。被害者の顔は潰れて判明できなかったが、服装や死体の左脹脛にある傷跡から市電の車掌チャールズ・ウッドと判明する。
ロングストリートの共同経営者で渡船場に居合わせたジョン・ドウィットが一連の殺人事件の犯人として逮捕され、裁判にかけられる。ところが、レーンがバックに就いた弁護側により、ドウィットが第2の事件の直前に負った傷から殺害が不可能なことが証明される。
しかし、無罪放免されたドウィットが弁護側の一行と列車に乗り込んだところ、ドウィットは何者かにより最後部の客車で射殺される。その左手の中指は、人差し指の上にねじ曲げられて「X」の形を作っていた。

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